(Ⅵ)にゃんこ亭の猫たち ③猫たちのおしゃれ心

箱根細工のペンダント 庭猫 
箱根細工のペンダント

(Ⅵ)にゃんこ亭の猫たち ③猫たちのおしゃれ心

 

日に、幾度も毛づくろいする猫は、生まれつき、

おしゃれに気を配る生き物なのかもしれない。

犬の首輪やペンダントを、長い間、

『うらやましい』と、ひそかに見ていたような気もする。

 

さて、にゃんこ亭に来るМ氏宅の猫たちに、

ペンダントをプレゼントしてからというもの、

それぞれの「おしゃれ心」に、火が点いたような趣があった。

猫のペンダント

2個目のペンダント

 

最初に作った首輪は、髪をまとめる黒いゴムに、

ビーズを通しただけの簡単なものだった。

そのうち、首輪を、しっかりしたものに替えたことで、

そこに下げるペンダントも、大きなものになっていった。

わたしのほうは、まるで着せ替え人形で遊んでいる感じだった。

3個目のペンダント

3個目のペンダント

猫のペンダント

7個目のペンダント

 

猫たちにとっては、新しいペンダントが素敵とは限らない。

汚れているな、と思って、わざわざ新品に替えても、

『前のものが、よかったな』といって替えに来たこともある。

ゴネルように鳴きながら、わたしのまわりを回って、

自分の思いを伝えるのだが、わたしにはチンプンカンプン。

むしろ、『あたらしいペンダント、うれしいな。ありがと』

と喜んでいるのだろう、と思っているのだった・・。

思いが伝わらないと分かると、猫は、実力行使する。

つまり、牙で引っ掛けて取ろうというそぶりをする。

そこで、初めて「不服をさとる」のだった。

 

暑い夏を涼しく過ごせるようにと、

細いループに木のリングを通した首輪を作ったことがあった。

なかなか良いアイデアだと、わたしは内心、得意だったが、

これは、どの猫にも不評だった。

頼りないような細さと、木の軽さが不評の理由のようだった。

拒否されたペンダント

拒否されたペンダント

 

作っているときを間近で見ていたタクちゃんは、

嫌だともいえず、さりとて、付け続けたいとも思わない、

という、困った感満載の表情をして、

さかんに頭をわたしにこすりつけながら、

『オバ・・ごめんね。でも・・いやなんだよ、これ』

いまにも、泣き出しそうな眼で、わたしを見上げた。

色違いで作った、クロミちゃんとミケちゃんのものは、

すぐに壊れて(壊して、かも)しまったのだった。

 

はっきりと言えることは、猫たちには、

「自分に似合うものが分かっていた」ということである。

そのうえ、大きさと重さも、きわめて重要らしかった。

走ったときに、胸もとにポンポン当たる感じとか、

水を飲むときに、器に当たって、カンカン響く感じとか、

3匹それぞれに、「こだわり」があって、

それをないがしろにすると、キッパリと拒否された。

 

猫たちにとって、首輪やペンダントは、

数少ない財産なので、なんとか思い通りにしてあげようと、

わたしは、楽しみながら、心を配ったものである。

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