(Ⅵ)にゃんこ亭の猫たち ⑥二匹の男の子猫
ハンサムくんが現れたのは、2003年の夏だった。
白黒猫は、同年の秋。三か月ばかり後になる。
ともに男の子猫であった。
男の子であるということは、この二匹、テリトリーをめぐって、
戦いを繰り広げる[相手]・・ということなのだ。
しかも、二匹の間には、クロミちゃんがいるらしい。
『もてるって、つらいわ~』とかいいながら、
ご機嫌で、二匹の男の子をたき付けているような気がする。
竹内まりやさんの歌のように、
『ケンカをやめて~・・・わたしのために~
あらそわないで~もうこれいじょう~』と、いう感じだ。
二匹は顔を合わせるたびに、唸りまくっている。
『おれは、やるぜー!』
『なんだとー!かかってこーい!』
とにかく、騒がしいったらない。
唸り声だけで、まだ実戦はない模様だった・・が、
争いの舞台が、にゃんこ亭になりそうな、嫌な予感がしきりにする。
各地を歴戦しながら、にゃんこ亭を訪れたらしいハンサムくんは、
穏やかそうな見た目とは違って、きっと、相当な[てだれ]だろう。
のんきそうに見える白黒猫だって、あの筋骨隆々な体躯だ。
なんだか強そうな気配がする。
そんな、ある日のこと。
ものすごい唸り声が庭から聞こえた!
ウェイウェイウェイ!!!
レロレロレロ!!!
ウオー!
ワオー!
ジャジャギャギャ・・ドンバンドタンバタ・・
くんずほぐれつ、茶色と白と黒が団子状になりながら、
狭い庭の中を、鉢にぶつかりながら転げ回っているのだった。
茶色や白黒の毛がホワホワ舞い飛んでいる。
壮絶な、と表現しても、しすぎではないほどの戦いの始まりだった。
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