(Ⅶ)にゃんこ亭の猫たち ⑧大吉の病気【その1】 (2007年 11月)
日曜日の朝のこと。
庭の枇杷の木の根元で、大吉は眠っていた。
声を掛けても、身じろぎもしなかった。
夜遊び好きの猫だから、一晩中、遊び歩いていたのだろう。
昼近く、まだ、そのままだった。
ほとんど、同じ姿勢のままで・・。
・・さすがに、おかしいと気づいた。
側によって、声を掛ける。
うっすらと目を開けたけれど、動かない。
「・・大吉・・どうしたの?」
具合が悪そうだ。
見たとたん、わたしは体中に鳥肌が立った。
もっと早くに見に来ていたら・・。
キャリーケースに入れても、ジタバタしない。

眠る大吉
嫌がって大騒ぎするのが大吉なのに。
よほど具合が悪いに違いない。
動物病院へ直行だ!
血液検査の結果は、肝炎という診断。
即入院ということだった。
農薬のまかれたところを歩いて、毛に付いた農薬を、
毛づくろいすることで舐めたのではないか、という見立て。
しかし、そればかりではなかった。
[猫エイズに感染]しているという。
4月に去勢手術をした時には、なかったものだった。
愕然とするわたしに、獣医師がいった。
「感染していますが、発症はしていません。
じつは、うちの猫もエイズウイルス感染猫ですが、
発症はせず、何年も元気に過ごしていますから・・。
人には感染しませんので、その点はご安心を」とも言い添えた。
猫エイズの正式な病名は【猫後天性免疫不全症候群】というらしい。
ケンカ相手の猫が持っていて、うつされたのだろう。
大吉は、動物病院のケージの中で、丸くなっていた。
前足に点滴のチューブをつけて・・。

入院点滴中の大吉
ほぼ毎日、大好きなおやつを持って見舞いに通った。
入院四日目に[点滴の管を引きちぎった猫]として有名になっていた。
一週間の入院生活で、肝炎はひとまず落ち着いたものの、
さらに、一週間の自宅療養が必要ということで、
「外には出さないで、家の中で養生させてください」と、
親切にも、大きなケージを貸してくれたのだった。
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