(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ④お腹だけは横綱級
飼い猫になった頃の大吉の食欲たるや、驚くべきものだった。
大きな缶詰を丸ごと平らげても、まだまだ食べたりない。
『もっとなんかおくれよぅ』
頭突きしたり、顔をすり寄せたりと、さかんにわたしの機嫌を取る。
「しょうがないねぇ」
[猫のごちそう]の入っている箱を開けると、
その箱に大きな頭をつっこんで恍惚の表情になるのだった。
さらにパウチ1袋とカリカリを追加で召し上がって、
『ああ、やっとおなかいっぱいになった』と満足した。
もともと大柄な猫ではあったが、
気が付くと、9キロにせまるほどの大猫になっていた。
獣医師からは、ダイエットを勧められた。
たしかに太りすぎだろう。
少しずつ量を減らしていったものの、言ってわかる相手ではない。
夜、12時になろうかという頃に、
【なんかたべたいビーム】をわたしに送ってくる。
「おっと、もうこんな時間か!
さあさあ、大ちゃんも休みましょう」
軽く、ビームをかわして、気づかないふりをする。
朝。
わたしの携帯電話(ガラケー)だけが、ローボードの上から床に落ちているのだった。
『ぷん、おばなんか!こうしてやる!』
「やられた!」
夜中の凶状は、想像するだに笑いがこみあげる。
こんな攻防の末に、なんとか7キロ台になったのだった。
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