(Ⅺ)にゃんこ亭の猫たち ①こりない猫

意気消沈した猫飼い猫
意気消沈した猫

(Ⅺ)にゃんこ亭の猫たち

①こりない猫

 

大吉のやつめ、

また ケンカしたらしい。

 

朝、出掛けたきりで、

やっと、夜遅くに帰ってきた。

脚をひきずっている。

 

「またケンカしたのね!」

わたしの視線を避けるように、

コソコソとカーテンの中に隠れてしまった。

 

いつものエラソーなオレさまふうは、

影をひそめてしまっている。

 

「よくもこりずにケンカするね!」

カーテンごと背中をさする。

ニャ・・・

かそけき声だ。

さらに さする。

ウーやらシャーやら、

唸りながら、身をよじる。

脚ばかりか、

肩のあたりにも傷があるらしい。

やられた猫

やられた・・・

 

猫用の抗生剤を、

花かつおで ふんわりくるむ。

「ゴックンしなさい」

意気消沈していても、

花かつおには目がない。

くいしんぼうは、

こんなとき ありがたい。

 

後ろ首のあたりから、

熱っぽいような、

傷の臭いが漂ってくる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました