(Ⅺ)にゃんこ亭の猫たち ④2011 3・11 〈その2〉

震災と猫 飼い猫

(Ⅺ)にゃんこ亭の猫たち 

④2011 3・11 〈その2〉

 

その夜も、余震が続いた。

東北の被害が甚大だというニュース。
巨大津波に襲われた、ということが、
しだいに分かってきた。

私の親族が暮らす岩手沿岸部や、
親戚や友人の暮らす石巻や仙台にも、
津波は容赦なく襲い掛かったらしい。
電話もメールも、いっさい通じない。
関東圏にいる親戚たちと、
連絡を取り合いながら、
ひたすら無事を祈り続けていた。

薄型のテレビだとはいえ、
倒れてきたら怖いので、
カーテンのタッセルフックに、
スズランテープをくくりつけて、
それを、テレビまわりに渡し、
キッチンドアに結んだりした。

リビングの家具には、丈高いものはないが、
上に飾ってあるものは、全て下ろして箱の中に入れた。

こんなに不安な中で、
大吉だけは、うれしそうなのだった。
それというのも、
いつもは一緒の部屋では眠らないからだ。

リビングテーブルの上に陣取って、
不思議そうに、
寝転んでいる娘と私を見下ろしていたが、
納得したように夜具に下り立ち、
のしのしと私たちのまわりを歩き始めた。

身体を踏みつけるということは、
決して、しない。
なかなか感心な猫である。
外に出たい、などともいわない。
私たちの不安な気もちは分かるのだろう。
静かに、のし歩くのみである。
どうやら、守ってくれているらしい。
その様子を見ているうちに、
一年前に虹の橋を渡ったタクちゃんを思い出した。
オバの危機には、
ナイトのごとく、馳せ参じたタクちゃんを・・

翌朝、8時頃にやっと夫が帰宅した。

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