(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち ③クロミちゃんの旅立ち

美しい黒猫庭猫 
美しきクロミ嬢

(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち 

③クロミちゃんの旅立ち

 

2012年 7月16日
クロミちゃん 虹の橋を渡る。
18さいだった。

若いころのクロミちゃんは、
ゼリーで出来ているようだった。
くんにゃり、プルルン、クネクネ。
骨はなさそうな感じ。

クロミ

くんにゃり

 

抱っこされるのが、
あまり好きではなかったけれど、
きちんとお願いすれば、
抱っこさせてくれたものだった。

「クロミちゃん、抱っこ、いいですか」
『そうね・・いいわよ』
きっちり30秒。
数をかぞえられるのかもしれなかった。

30かぞえると、
ハイ、おしまい!
前足で私を押しのけるようにして、
するり と私の腕の中から降りた。
この時は、ゼリーというより、
液体のようだった。

黒猫

クロミちゃん

 

クロミちゃんの毛並みは、
デパートで触ったミンクのコートより、
はるかにすばらしかった。
つやつやフワフワしっとりスベスベ。

アンニュイな黒猫

アンニュイなクロミ嬢

 

細く澄んだ声も美しくて、
私は歌姫と呼んでいた。
録音した声が残っているので、
ときどき、聴き返す。
つややかな毛並みを照らしていた陽ざしや、
風に漂う金木犀の香りまでよみがえる。

猫の中の猫。
毅然として気高かく、
おしゃれで欲張りで、
頭が良くて意志が強かった。
私をとりこにした猫は、
とうとう逝ってしまった。
クロミちゃん・・
ずっとずっと忘れないよ。

幼い頃のクロミちゃんとミケちゃん

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