⚫最終章
②不気味なサイン
暑がりの大吉は、
毎年、夏になると抱っこを嫌がる。
蒸し暑い夜。
珍しいことに、私にピタッと寄り添った。
久しぶりのことなので、
嬉しくてシャッターを切った。
なんとまあ、おめでたいバカ者か!この私は!
のぞきみた大吉の横顔には、
困惑が見え隠れした。
気弱そうな眼。
『オバァ、ボクなんかヘンなの』
暗いところで箱座りなんかしている。
耳が熱い。
いつもより、ずっと熱い。
そして、治りの悪い背中の傷・・
キャリーケースを出しても、
大吉は逃げもしない。
この夜の診察で、
白血球が激減していることが判明した。
大吉の体の中で、
得体の知れない何かが暴れ出していた。
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