⚫最終章Ⅱ ⑧怒りの声かもしれない

愛猫の思出写真 飼い猫

⚫最終章Ⅱ 

⑧怒りの声かもしれない

 

大吉がいなくなって、
半年くらい経ったころのこと。
朝方に、大吉の大きな声で目覚めた。
のどを目いっぱいに広げて鳴く、あの大声。
目を覚ましても、鳴き続けている。
耳元でガンガン鳴り響いている。

「だいちゃん!!」
私はベッドからはね起きて、
寝室のドアを開けた。
・・いない。
でも、あんなに大きく張り上げて鳴く声は、
空耳とか幻聴とかいうものではない。

私は急いで玄関のドアも開けた。
・・大吉はいなかった。

外はほの明るくなっていたものの、
人の気配はまだなかった。

リビングに行ってみると、
大吉の写真が私を見つめていた。
なんとなく、大吉が怒っているように思った。
『オバ!
かわいそうな子って、もっといるよ。
お腹をすかして泣いてる子がさ!』

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そのころ、近所のペットショップに三毛猫がいた。
諦めたような眼をして、ニャとも鳴かない。
子猫のかわいらしさが感じられなかった。
なんだか、売れ残りそうな感じだった。
私は、なぜだかその子猫が気になっていて、
いよいよとなったら引き取ろうと思っていたのだった。

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