第二部 ③迷子らしい 

ぶらーんの猫 庭猫 
ぶらーん

第二部 ③迷子らしい 

 

猫友だちに黒猫の話をすると、
「一週間くらい前から見かけている」という返事。

ということは、迷子ってこと?

どうみても捨て猫とは考えにくい。
美しい猫だし、うらぶれた感じがない。
迷子になって間もないということだろうか。

私はすぐに、
迷い猫の連絡が来ていないか、
警察署に問い合わせた。
こういう時の警察はすばやい。
なにしろ、
落とし物、もしくは拾得物になるらしいので、
(このさい、怒らない。ムッとしないで、お世話になりましょう)
向こう三軒両隣の区の警察署に連絡してくれた。

結果は、誰からもなんの連絡も、
なんの依頼もない、とのこと。
「よし!」
また庭に現れたなら、保護することに決めた。
あのままにはできない。
そろそろ木枯らしが吹くだろう。

あれこれと猫ゲットの手順を考え、
いろんなものを用意しておいた。
それを待っていたかのように、
濡れ縁に黒い影が・・・
「あ、アイソなし!」
猫がまた、やって来たのだ!!
『にゃー』
黒猫は、『に』に濁点のついたような、
お世辞にもかわいいと言い難いしゃがれ声で鳴いた。

「はいはい。いらっしゃ~い」
ちゅうちょしたら失敗するので、
さりげなく、わきの下に手を入れて、
すくいあげるようにしてゲット!
ぶらーん・・と難なくバスケットに納まった。

動物病院に連れて行こう。
さ迷っていた間にケガをしているかもしれない。

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