第二部Ⅱ ②戻ってきた凛

帰ってきた猫飼い猫
ああ、こわかった・・・

第二部Ⅱ ②戻ってきた凛

 

すぐに凛の逃げたあたりを捜したけれど、
呼べど叫べど、ニィとも声はしない。
黒猫なので、物陰に隠れたら紛れてしまう。
まして夕方になってしまったら!
日のあるうちに見つけないと。
私は焦りまくっていた。

一応、警察署と区役所に猫が逃げた旨、届けた。
迷い猫を保護したという連絡があれば、私に報せてくれるという。

猫の保護活動をしている友だち[Мさん]にも応援を頼んだ。
ありがたいことに、すぐに捕獲用のケージを持って来てくれた。
テキパキと、ケージの中に凛の毛布と好物を入れると、
「家から逃げた猫は、せいぜい隣の庭か、二軒目の庭にいるわ」
そう、キッパリと断言した。
そして、ケージのドアを開けて、隣の庭に向けて設置した。
「あとはこのまま静かに待ちましょう。
遅くても今夜中にはケージに入ると思うわ」
なんという心強い言葉だろう。

夕方5時を過ぎた。
あたりはすでに真っ暗である。
気温はどんどん下がって師走の冷たい風も吹いてきた。
いったいどこにいるのだろう。
きっと寒さで震えているに違いない。

Мさんの言うように、隣の庭に隠れているかもしれない。
隣には動物嫌いの老夫婦が住んでいる。
その人たちに気づかれる前に何とかしなければ。

ささやくように凛を呼んだ。
思いがけない近さで、かすかに鳴き声が聞こえた!
どこ?・・耳を凝らす。
やっぱり隣の庭だ!!
「凛!凛!」私は、もう大声になっている。
・・ガサガサ・・
突然、フェンスの間の草陰から、
黒っぽいかたまりが、ビュン!と飛び出した。
そのかたまりは、あ!と思う間もなく、
開けてある家のドアめがけて、
まっしぐらに走り込んで、ソファの下に丸まった。

抱きよせると、プルプルと震えながら私を見上げた。
壊れそうなほど小さくて冷たかった。
良かった!ほんとうに!
おかえり・・凛・・

それ以来、凛は庭にさえも出ようとしない。

やっと人(猫)ごこち

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※Мさんの推察は100%正しかった。
[逃げた猫は、せいぜい隣か二軒目の庭にいる]
まことに名言である。

※区役所、警察署には見つかったという連絡を入れた。
「本当に良かったですね!」と、どちらの担当者も。
ありがとうございました。

 

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