第二部Ⅷ ⑨12月のお約束
毎年12月には三種混合ワクチンの予防接種がある。
ずっと部屋の中にだけいる猫だから、
必要無いようにも思いつつ、
年に一度の顔見世興行と思って、
動物病院に連れて行く。
これが、なかなか困難である。
凛にとっては、変化の無い毎日が最も安心できることだ。
それなのに、その日ときたら、
バスケットの中に押し込まれたり、
大きな犬にのぞきこまれたり、
よその人(動物医)に体を触られたり、
「いいこだね」といわれつつ注射をされたり「えらいね」となでられたりで、心臓バクバクの大パニックだ。
足の裏はじっとり汗をかいている。
診察台の上では、石のようになって絶対に動かない。このときは重さも石である。バスケットに戻そうと思っても、ずっしりと重い。
動物病院はとても混むのに、事前に電話予約が出来ない。だから、診察券を持って当日予約に、オジが行く。
そうすると大体何時頃に診察かが伝えられて、順番の15分位前になると電話で連絡がある。
さて、くだんの凛である。
[寒くなって来る頃にオジだけが外出すると自分にとっては良くないことが起こる]というふうに記憶しているらしい。
午前中に、オジだけが外に出たりすると 脱兎のごとくに逃げる。そして、わたしのベッドの下に隠れる。
なかなかの知恵猫である。
さて、このわたしは昨日から、
「どんなに嫌でもしなければならないことがあるのよ!」と凛に言い続けているのだが・・・(‘-‘*)
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