(8)にゃんこ亭の猫たち  ①物置の上

庭猫 

(8)にゃんこ亭の猫たち  ①物置の上

 

朝、8時。
もう、クロミちゃんのお出ましだ。
すこし遅れてミケちゃんも顔を見せる。
土曜日だって、日曜日だって2匹は通って来る。
悪天候にも動じない。なんのそのである。
そして、必ず、物置の上に陣取る。

にゃんこ亭の物置の上は、猫たちのお気に入りスポット。

1 130センチという高さがジャンプに適していること。
2 外の垣根で姿が完全に隠れること。
3 車禁止の広々とした歩道に面していること。
4 人や飼い犬や、よその猫の観察ができること。
5 最大級のポイントオブビューであること。
そして、もうひとつ。
6 わたしの動きをキャッチできること。
という6点があげられると思う。

6番目が意外に大切みたいだ。
なにしろ、
わたしの動きをすばやくキャッチできれば、
おやつ時がすぐに分かるからである。
おばさんの姿がチラリと見えたら、
ミケちゃんより早く、
クロミちゃんより早く
濡れ縁にふっとんで行かなければならない。
それぞれが、そのように考えている。
最初に来ようが、後に来ようが、
こちらにはなんの違いもないのだけれど、
猫たちはにとっては一大事らしい!

だから、決して庭側(わたしの方)に、お尻は向けない。
物置の長い辺に平行に、どっかと陣取る。
そうすれば、歩道側も、わたしの方もパッと見渡せる。

2匹とも競いながら物置の上にいる。
耳は必ず、ピンと立てて、アンテナのように動かしている。
物音は細大漏らさず、という用心ぶり。
寝ているらしいときでも、そんな具合だから、
・・眠ってなどいない証拠だ。

仲が悪いのかと思うと、そうでもない。
ぴとっと、くっついて毛づくろいしあっている。
寄り添い丸まって、ふっくらと眠っている。

仲良し姉妹でありながら、永遠のライバル2匹は、
大真面目なだけに滑稽で、愛すべき存在なのだった。

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