(8)にゃんこ亭の猫たち  ②家の中へ

庭猫 
ソファーで伸びるクマくん

(8)にゃんこ亭の猫たち  ②家の中へ

 

2匹の間に割り込むように、

にゃんこ亭にやってきた猫がいる。

黒猫の、クマくんだ。

М氏宅の先住猫である。

 

М氏の秘蔵っ子猫であるらしい。

 

でも、クマくんは偉ぶらない。

男の子猫は、このあたりがさっぱりしている。

 

クロミちゃんにもミケちゃんにも、

М氏がかわいがっていることは、すぐに分かったのだろう。

とにかく、クマくんにはかなり気を遣う。

にゃんこ亭の入場券だって、

リボン付きでプレゼントとしたと、にらんでいる。

 

このクマくん、

クロミ姉妹がいるときは物置には上がらない。

それがルールのようだ。

いつも庭の真ん中か、濡れ縁にいて、

サッシを開けると、ゆったりと部屋の中に入ってくる。

ためらう気配は、いっさいない。

「悠揚迫らず」という慣用句があるが、

まさにそんな様子である。

ゆうゆうと落ち着いて動じない猫である。

なでさせてもくれるし、抱っこもオーケー。

足も、きれいに拭かせてくれる。

 

そんなクマくんの振る舞いを目にして、

『おんや?』と思ったのはクロミちゃんである。

『にゃんこ亭のおばさんも、こわくないのか!』

・・どうやら、やっと気づいたらしい。

「どれだけ養ってあげたの!」と言いたいところだが、

ぞうきん猫の教育は【半端ない】のだから、

そこは仕方のなかったところだ。

 

クマくんが部屋の中で、ゴロンと横になっているのを、

物置の上から眺めているうちに、

『ちょっと、まねしちゃおっかな』と思ったらしい。

おどおど、どきどき・・

という感じではあったものの、なんとか部屋の中へ。

そうなると、ミケちゃんも負けてはいられない。

すぐさま、続いて、中に入るようになった。

 

しかし、この2匹、絶対になでさせない。

そこのところの2匹の意志の強さは、なんとも絶妙で、

示し合わせているとしか思われないのだった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました