(8)にゃんこ亭の猫たち ⑩猫合戦(夏)

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猫合戦

(8)にゃんこ亭の猫たち ⑩猫合戦 (夏)

 

クマくんと獅子丸くんは、

何度か、にゃんこ亭で合戦をした。

 

猫合戦は、戦国武将たちのように、

まず最初は名のりをあげる。

 

ウェ、ウェイ、ウゥウェイ、ウェーイ!

『やあやあ、われこそは黒の尾ともうすぅー!』

オオウ、ニャン、ニャニャーゴ。ニャニャ!

『われこそは、獅子丸なり!いざ、勝負!』

 

耳は、頭の真上にキュッと引き寄せる。

2本の尖った角が生えたようだ。(かわいい)

小さな兜をかぶっている・・ように見える。

 

冴え冴えとした顔つきだ。

全身の毛を逆立てる。

大きな猫に見えるように、最大限に背を突き出し、

しっぽも、ボボン!

ギザギザのイナヅマみたいにふくらます。

その状態で、しばし、にらみ合う。

 

それから、それぞれ、庭の端に陣取る。

にゃんこ亭は南向きの庭だから、

クマくんは東側に。

獅子丸くんは西側に。

 

『いくぞ!』『おう!』

両陣地から、勢いよく飛び出す。

シャリーーン!!

2匹、宙を飛ぶ!

剣を持つ手に衝撃が走る。

もう一度、

『にげるなよ!』『おまえこそ!』

ジャジャーーン!!

またまた宙を飛んだ。

 

第一戦目終了!

両者互角である。

それぞれが陣地に引き上げる。

 

お天気が良い日で、庭はポカポカ、暖かい。

逆立っていたはずの毛が、ぬくぬくしてくる。

ちょっと、手の先を舐めたりしているうちに、

ふと、戦いを忘れてしまう。

 

あちらと、こちらで、せっせと毛づくろいが始まる。

にちゃにちゃ、しゃっしゃっ・・。

 

ハッ!と気づく。戦いだった・・。

伸びあがって、相手を確認すると、

敵は毛づくろいの真っ最中である。

よし、この隙に突撃・・なんて、猫は思わない。

 

『それなら、ぼくも・・』である。

そして、せっせと毛づくろう。

そのうち、トロトロ眠くなる。

くーっと、本気で寝てしまう。

・・2匹そろって夢の中だ。

 

とうとう日が暮れる。

おっと、そろそろ5時になる。

『またな!ごはんだから』

『まてよぅ、いっしょにいくよ』

クマくんの後ろに、獅子丸くんが続く。

 

にゃんこ亭での猫合戦。

今日は、これにて終了! チョン

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