(Ⅴ)にゃんこ亭の猫たち ③セピアの毎日
セピアと娘は、ピトッとくっついている。
ノートを開けばその上に、椅子に座れば膝の上に、
セピアは、娘のあとを追って行く。
娘は、それが嬉しくてたまらないらしい。
セピアはおもしろい猫で、お菓子の空き箱を置くと、
おしりを振り立てて走り、頭から突っ込んだ。
なんどでも、くり返した。
わたしたちの歓声が、うれしいらしかった。
紙袋も大好きで、すぽんと入り込んだ。
空間が少しでもあれば、見逃さずに、
走っていって、もぐり込むのだった。
好き嫌いをいわず、よく食べ、よく眠って、
セピアは我が家に、すっかり馴染んだ。
足元に頭をゴチンとぶつけるのは、カリカリが欲しい時。
脚にしがみつくようなしぐさは、抱っこをせがむ時。
走り回り、おもちゃのネズミちゃんにじゃれつき、
くたびれるとコトンと眠りについた。
もとからずっと家にいるような顔して、
生き生きと弾んで毎日を過ごしていた。
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