(Ⅴ)にゃんこ亭の猫たち ④アレルギー反応

ネズミちゃんと遊ぶ猫 飼い猫
ネズミちゃんと遊ぶセピア

(Ⅴ)にゃんこ亭の猫たち ④アレルギー反応

 

セピアが来て十日ほど経った頃、娘の鼻がグズグズいいだした。

コホ、コホ・・軽い咳もしだした。

娘は平気そうにして、何も言わなかったし、

わたしも、気づかないふりをしていた・・が、

そのうち、眼が充血して、まぶたが赤く腫れだした。

さすがに、「ちょっとだけ、眼がかゆい」という。

やはり、アレルギーが出たようだった。

 

セピアのブラッシングは欠かさなかったし、

午前と午後、家中の掃除をしていたのだったが・・。

 

「セピアは、別の家族に飼ってもらおう」

これが、わたしの出した結論だった。

娘は、「軽い症状だから大丈夫!」と言ったけれど、

わたしは、М氏に電話して、引き取り手が見つかるまで、

預かってほしいと、頼んだのだった。

「すぐに連れてきて」といってくれて、

わたしは、セピアを抱いて連れて行った。

 

新しい飼い主は、ほどなく見つかった。

その人はМ氏の友人で、いろいろと都合があって、

セピアを引き取るのは一月後になるという。

それまでは、М氏宅で、にゃんこちゃん、タクちゃん、

クロミちゃん、ミケちゃん、サンちゃんと暮らすことになった。

 

毎日、様子を見に行くたびに、セピアは、

早く帰ろうよ、というように、わたしの肩に、

必死でしがみついてきた。不憫だった・・。

しがみつくねこ

はやく帰ろうよ!

 

娘は、かわいそうがって、

「軽い眼のかゆみだけなのに・・」と言い続けたが、

セピアをМ氏宅に預かってもらうとすぐに、

咳も鼻水も眼の腫れも、おさまったのだった。

 

知人たちの何人かは、娘のアレルギーに関して、

「しばらくしたら猫の毛に慣れて、症状は治まると思う」と、

まことしやかなことを言うのだった。

だれの説なのか、要領を得ないのだったが、

それはかなりの冒険で、娘にもセピアにも、

さらに悲しい結果になるかもしれなかった。

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