(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ④お茶の時間

待つ猫 飼い猫
お茶を待つ

(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ④お茶の時間

 

秋から冬にかけてのお楽しみは、

午後のお茶の時間を一緒に過ごすことだった。

 

大吉にとって、

【秋冬のお茶の時間】は、

どんな意味があったのだろうか。

 

わたしにとって大吉と過ごすお茶の時間は、

静かに流れる時の中に、

ひっそり、とっぷり、籠っている、といった感じがあった。

 

ぬくぬくした部屋の中でお茶の用意をする。

いつのまにか大吉もちんまり座っている。

座るのは夫のダイニングの椅子だ。

わたしの前には、熱い紅茶かお抹茶。お供は甘いお菓子。

大吉の前には、好物のカニカマやチュールが並ぶ。

なんとなく、儀式ばっている。

わたしが椅子に座らないと、大吉も食べようとしない。

お茶と猫

これからお茶の時間

 

猫と人が、いつもとは少し違う顔をして、

たいそう大事そうに、お茶の時間に向き合っている。

それが、なぜだか、おかしい。

 

「では、いただきましょう」

なんてことを言うと、

大吉もいよいよお利口そうに、

『うん。いただくよ』

ペコちゃんみたいな顔つきをして、

おとなしやかに言うのだった。

そして、きわめて静かにたいらげて、

満足そうに丸くなった。

お茶後のお昼寝

お茶後のお昼寝

 

外では木枯らしが吹く。

しとしと冷たい雨が降る。

風花がふわふわと舞い落ちてくる。

そんな時こそ、わたしと大吉のお茶の時間は精彩を放つ。

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