(3)ぞうきん猫(にゃんこちゃんの最初の娘) ①名前がついた (1990年 秋)

ぞうきん猫 庭猫 
美しい緑の眼、胸元には枯れ葉やくっつき虫、長毛の洋風猫

(3)ぞうきん猫(にゃんこちゃんの最初の娘) ①名前がついた (1990年 秋)

 

茶トラにゃんこちゃんの最初の子猫たちは、二匹だった。
黒いずんぐりした長毛猫と、すらりとした白茶まだら猫。

ある日気づいたら、わたしの庭をテリトリーとして暮らしていた。
まだ六か月くらいの、ちいさな猫たちだったが、
二匹は母猫から、わたしの庭を譲り受けたのだろう。

黒と白茶が、ものすごい勢いでじゃれあったり、
こんもりとした沈丁花の木をかるがると飛び越えたり、
高い月桂樹に勢いをつけて登っては、降りられなくなって鳴いていたりした。

母猫はときおり姿をみせていた。
ごちそうを運んでいたのかもしれない。

そのうち、白茶まだら猫がわたしの庭からいなくなった。
どうやら、飼い猫になったらしかった。

残った黒猫は、あいかわらず、わたしの庭を拠点にして、
近所を闊歩していたが、いつの間にか名前がつけられていた。
なんと、「ぞうきん猫」という名前だった。

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