(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち ⑥猫ドアを要求する大吉 (その2)

猫の企み 飼い猫
たくらみ

(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち 

⑥猫ドアを要求する大吉 (その2)

 

大吉は夜に出て行ってから、
私が、寝入ったころ合いに、
寝室の前のベランダで鳴く。

小声で『開けてよぅ』という感じ。
知らんふりをしていると、
だんだん大声になっていく。
アルミの雨戸を引っかいたりもする。
ガシャガシャ、うるさい。

ご近所の手前もあるので、
ねぼけまなこで起き上がり、
玄関から入れる。

どこで遊んだものか、
白い毛並みが灰色に汚れている。
拭きまくっているうちに、
こちらの眼も冴えてくる。

夜中ではあるけれど、
ちょっとカリカリをあげる。
こちらとしては、
家の中にいると、
良いことがあるよという懐柔策。
つまりは[ごきげんとり]だ。

それなのに、食べ終わると、
また『出して!』と鳴く。

「もう、このまま中にいてよ」
私は寝室にひきあげるが、
大吉の声は、どんどん大声になって、
ついには胴間声を張り上げる。
リビングの壁に反響するのなんのって。
なにしろ、
声明合唱団に入れたいぐらいの声量の持ち主。

ああ、わかりました!
音を上げて外に出す。

すぐに『中に入る!』と大いばりだ。
知らんふりは出来ない。
どんどんエスカレートするからだ。

こんなことが十日以上続いた。
私は寝不足である。

怒り

 

ふだんは、猫なで声の私だが、
この時ばかりは、頭の中に、
[不穏]やら[険悪]やらが渦を巻いた。
いや、大とぐろを巻いて、のたうっていた。

「おのれ~!ダイキチめ~!
どうしてくれようか!!」

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました