（６）５匹の子猫 ⑧行方不明 （１０月上旬）
歩道に人だかりがしている。
どうして集まっているんだろう？
近づくと、原因は子猫だった。
しかも、なんと、ウチの三毛猫！
「かわいいわねぇ」
何人もの人に、撫でまわされていた。
パッキンの付いてるような口を開けて、
ニャー、澄んだ声で鳴きながら・・。
笑っているような顔をして、愛嬌たっぷりだ！
目を疑った・・。
どういうことだろう。
わたしにはさわらせもしないのに。
・・チクン、心が痛んだ。
そんな頃のことだ。
子猫たちの帰らない日があった。
５匹全員である。
いつもなら夕方には庭に戻っているのに・・。
遊びほうけているのか、
植え込みの中で眠りこけているのか、
木登りでもして降りられないでいるのか・・。
捜したが近くには、いなかった。
他所から最近、戻ったばかりだから、
すぐに転宅ということはありえない。
これは・・行方不明だ！
自由猫を捕まえては、
保健所に引き渡すという人の噂があった・・。
もしかしたら、捕まったのかもしれない！
ぐずぐずしている間に、
むざむざと子猫を死なせたかもしれない・・。
さっさと捕まえないから、こんなことになったんだ！
・・力が抜けていくようだった。
翌日も、その翌日も、姿を見せないままだった。
ふと、庭を見ると、ぞうきん猫がいる。
「ねえ、子猫たち、いなくなっちゃったわよ！
子どもほったらかして、アンタ、どこに行ってたの！」
途方に暮れた顔をしている。
親なんだから、わたしなんかより心配しているはずだ。
鳴きながら捜していたが、手がかりはないらしかった。
・・長い時間、ひっそりと、庭にいた。
子猫たちの帰りを待っているんだろう。
・・悲しいな・・母猫は・・。
数日後、あるウワサが流れた。
５匹は避妊手術を受けたらしい、というのだ・・。
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