第二部Ⅱ ①はからずも、脱走

逃亡猫 飼い猫

第二部Ⅱ ①はからずも、脱走

 

いつか凛もハーネスをつけて、
大吉のように、私たちと一緒に散歩(にゃんこ亭の猫たち①散歩する猫)できないだろうか。
そんなひそかな希望をいだいていたのだった。
時期尚早ではあったけれど、
その日のためにハーネスを購入していた。

12月28日
凛が我が家に来て2か月が経った。
夫が、そろそろ凛も散歩するんじゃないか、という。
まだ早い、と言っても夫は聞く耳を持たない。
例のハーネスを嬉々として凛に着せると、
練習だよ、と言って庭に連れ出した。

反対したものの、
庭ならいいかな、と私も思ったのだった・・

ところが・・・
庭に出たとたん、凛は嫌がって叫び出した。
さ迷っていた外は、怖かったに違いない。
その記憶は、まだ生々しかったのだろう。
庭だろうが、外はいやだ!
梃子でも動くもんか!と、フリーズした。

そんなことなどおかまいなしに、
「ほら、こっちにおいで」と夫は引っ張っている。

『ぜったい、いやダ!!』
パニック状態になりながら凛は踏ん張った。

私は、凛を抱こうと、急いで庭に出た。
しかし、一足遅かった。

・・なんと、スポン!!
ハーネスが外れてしまったのである!

目の前で何が起こったのか・・
理解するのに、しばし時間がかかった。

ハーネスはボタンで留めるベストタイプ。
しっかりと着せたはずだった。
それなのに、なんのはずみでか、
前足が抜け、肩からスルリと脱げたのだった。

ハーネスは、将来に備えてのものだったので、
凛には、ひと回り以上も大きかったのである。

あー!!たいへん!!!

凛の動きは素早かった。
パッ!!
物置の上に跳んだと思った瞬間、
すばらしく大きな弧を描いて、
物置から外の垣根の向こうに飛んで、
どこかへ消えてしまったのだ・・。

逃亡猫

逃亡猫

コメント

タイトルとURLをコピーしました