⚫最終章Ⅱ
⑨風が吹き抜ける
数日後のこと。
ペットショップには、
「ミケちゃんの飼い主が決まりました💛」
という嬉しい張り紙があった。
飼い主の都合で引き取りは2日後らしいけれど、
くだんの三毛猫は、はしゃいでいる。
ボールやねずみちゃんにじゃれついて、
ひっくり返ったりしているのだった。
そんな活発な様子をはじめて目にした。
これから飼い主になる家族に、
抱っこされて、なでてもらったらしい。
その手の感触や、声のトーンなどで、
すぐに引き取ってもらわなくとも、
きっと分かっているのだろう。
家族になるってことを・・
良かったという思いと、
残念だという思いがせめぎ合う。
・・大吉がいなくなった空白を、
他の猫で補うことができるのだろうか・・
私の中には、
ヒューヒューと風が吹き抜けていた。
西部劇の荒野を吹く風のように。
空虚感が半端なかった。
大ちゃん!!
ガーガーゴーゴー!
掃除機を最大音量にして、
声をあげて泣く日々だった。
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