⚫最終章 ⑪永の訣れ

物置の上 飼い猫
さようなら・・・大吉

⚫最終章 

⑪永の訣れ

 

8月10日
・朝6時
トイレの中でうずくまっていた。
トイレに起きて、そのまま動けなくなったようだ。

・午後3時頃
グエグエとうめくように苦しむ。
そっとさする。
それだけしかできない。
・午後6時頃
浅く早い呼吸。
今夜が・・峠かもしれないと思う・・

⚘~~⚘~~⚘~~⚘

どれだけの痛みのなかに大吉はいるのだろう・・
あえぎ、痙攣する。
悲鳴を上げる。
・・小さな大吉の生きようとする頑張り。

私たちは無力すぎる・・
そばにいるだけしかできないなんて・・
許してほしい。
なにもできない私たちを・・

・午後9時
トイレに行く様子。
どんなに苦しくても、
垂れ流しなどはしない。
なんて、あっぱれな猫だろう・・
トイレに入り、そこで力尽きたように動かなくなる。
大吉のベッドに移す。
・午後10時20分
苦しがってもがく。
一度、呼吸停止。
「大ちゃん!!」
呼びかけると、応えるかのように再び呼吸。

⚘~~⚘~~⚘~~⚘

死の直前、
大吉は四肢を動かして、
駆けるしぐさをした。
野を走り山を越え天を駆けぬける・・
のびやかに、かろやかに、
駆けて行く姿を見せてくれたのだった。
突然、
ボボン!
長いしっぽが、
大きくふくらんで、
四肢の動きが停止した。
同時に、フッッと息を吸いこんで、
大吉は逝ってしまった。
午後10時55分のことだった。

推定年齢12歳

コメント

タイトルとURLをコピーしました