(Ⅳ)にゃんこ亭の猫たち ⑤ペンダントの話
💎その2『わたしのものよ』
「あら?また、なくなってるじゃないの?」
昨日、見つかったはずの白いペンダントが、
またまた、クロミちゃんの首から消えてしまっていた。
わたしの驚きに、クロミちゃんはどこ吹く風。
この日は、うなだれることも、ない。
そればかりか、どこか冷ややかなまなざしで、
わたしを見つめ返すのだった。
「ね、昨日、前のペンダントが見つかったでしょ。
だから、付け替えてもらったはずよね。
そのペンダント、また、なくなったなんて・・。
いったい、どこにいっちゃったの?へんねぇ・・」
クロミちゃんは『プン』と横を向く。
どうも、おかしな態度だ。
電話が鳴った。
М氏の奥さんからだった。
クロミちゃんのペンダントが、
「ソファーの背もたれの間に押し込んであった」という。
押し込んであった???
どういうことだろう・・。
そして、再度、電話が鳴った。
またしてもМ氏宅の番号だった。
「サンちゃんにあげた赤いビーズの花が、
ちぎれて壊れてしまっている」というのだ。
サンちゃんの首にぶらさがった状態で、壊れていると・・。
読めた!!!
クロミちゃんのしわざだ。
きっと、赤い大きな花のほうが、お気に入りだったのだ。
最初のときの紛失は、本当に首から外れてしまったのだろう。
しかし、二度目は違う。絶対に!
みずから外して、ソファーの背もたれの間に、
ギューギューつめこんだのだ。まちがいない!
そして、サンちゃんの赤い花を壊してしまったのも、
だれあろう、クロミちゃんだ!!!
やられた!やるもんだ!クロミめ~👹
・・しかし、これは、わたしの責任だ。
白い首輪も赤いビーズの花も、クロミちゃんのものだ。
クロミちゃんにあげたものだった。
だからこそ、クロミちゃんは、怒って、
白い首輪を隠し、赤いビーズの花を壊したのだ!
[自分のものという意識が猫にもある]ということを、
このとき、わたしはクロミちゃんから学んだ。
コメント
にゃんこ亭の先生へ
お母さんに見せてもらいました。かなしかったりわらったり、しています。絵もたのしいです。ぞうきんねこがすきです。