(Ⅲ)にゃんこ亭の猫たち ⑦最初の首輪
М氏がミケちゃんに付けた首輪で問題発生。
またしてもクロミちゃんが気分を害したらしい。
物置の上で、ミケちゃんの首のあたりに、
食いつくようなしぐさをしているのに気が付いた。
よく見ていると、ミケちゃんの首輪に牙を引っかけて、
外しにかかっているのだった。
ミケちゃんが首輪を嫌がっているのかと思ったが、
どうやら、そんなそぶりは見えない。
むしろ、気に入っているようだ。
そのお気に入りの首輪が外されそうなのに、
ミケちゃんは、クロミちゃんの好きにさせている。
やめさせようとしても無理だということを、知っているのかもしれない。
あのクロミちゃんの行為は「嫉妬」に違いない。
嫉妬から、首輪を外そうと必死になっている、と考えるべきだろう。
犬には、首輪と引き綱が義務付けられている。
首輪をしている猫も見かけていたが、
束縛を嫌う猫に首輪だなんて、
[かわいそう]という思いが湧いたものだ。
М氏としても、猫に首輪を、とは考えていなかったはずだ。
このときの首輪は、単なる「目印」に過ぎなかったと思う。
ミケちゃんがまた、行方不明になったりしないように・・。
ところが、クロミちゃんの感覚は違うようだ。
クロミちゃんには、ミケちゃんの赤い首輪が、
おしゃれアイテムと感じるのかもしれない。
あるいは、ミケちゃんに対するМ氏の気遣いが、
ただもう、おもしろくないのかもしれない。
ふーん。困った、お嬢猫だこと・・。
やっかいだと思わないでも無かったが、
もしも、これが自分だったら、と考えてみる。
なるほど・・ね。
やっぱり、いい気分ではない、という結論が出た!
よし!それなら、作ってあげよう!
付け心地が悪いと嫌がるかもしれないから、
最初は、黒いゴムにペンダントを付けただけの、
簡単で、軽いものにしたらどうだろう・・。
ぶらぶら動かない小さなもの。
そんな感じのものが、いいかもしれない。
最寄り駅のビーズ店に寄って、
白い筒状のガラスビーズを買い求めた。
ほんの2センチばかりの長さだけれど、
真ん中に小さなピンクの花弁が描かれていて、
クロミちゃんの黒い毛色に映えそうだった。
翌日。
物置の上にいるクロミちゃんを呼んだ。
サッと降りてきて、『ごよう?』という。
ふわふわしっぽの先が、
「し」を逆さにしたように、くんにゃりと曲がった。
なんて、かわいいのだろ♡
これだから、何とかしてあげたくなるのよね。
「あのね、このペンダント、どうかしら?
これに慣れたら、首輪も買ってあげましょう」
そのように言い、確認させた後で、さっと首にはめた。
嫌がるかと思いきや、むしろ[待っていた♡]らしい。
パッと、目つきが変わって、
わたしの足元に、頭をさかんにスリスリした。
嬉しいらしい。
『ありがとう♡』のサイン、いただきました!!
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😽タクちゃんに用意したペンダントは、こちら。
やはり、筒状の焼き物。5センチほどもある。
体の大きなタクちゃんには、ペンダントも大きい。
クロミちゃんの首のペンダントを見て、
『ぼくのは?』と、にゃんこ亭に吹っ飛んで来た。
首にかけてあげたときの、うれしそうな眼つき♡
忘れがたく、いまも心に残っている。
残念なことに、このペンダントは、人に、とられてしまった。
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