(Ⅱ)にゃんこ亭の猫たち  ①クロミちゃんとカマキリ

庭猫 

(Ⅱ)にゃんこ亭の猫たち  ①クロミちゃんとカマキリ

 

ここ数年は、「庭猫さま」たちのお蔭で、

カマキリを眼にすることも少なくなっていた。

猫たちは、カマキリを捕食するので、わたしは大助かり!

 

秋の雌カマキリは、卵を持っているから、

猫たちにとっては、そうとう「美味」らしい。

見つけた瞬間のすばやい動きは、ほれぼれするほどだ。

なにしろ、猫は動体視力に優れているから、

動きさえすれば、すぐに反応して飛びつくのだ。

 

ただし、動きが遅いものは、見つけるのが苦手・・。

「石ころ」ぐらいにしか思わないらしい。

そのことを、なぜか、カマキリは知っていて、

猫の姿を確認すると、ピタリ!

いっさいの動きを止める。

 

つい、さっきまで動いていたのを見ているので、

猫は、目の前に「いるらしい」とは感じている様子。

正体を突き止めようと、においを嗅いだり、

首をかしげて、目の角度を変えたりもする。

一生懸命、努力するのだが・・わからない。

緑色や茶色は識別できる色なのだから、

カマキリの姿は見えているはずだけれど・・。

 

『へんだなぁ・・でも、いないみたいよ』

わたしが期待していることを知っているので、

こちらをチラチラ見たりしているうちに、

サササ・・と、逃げられて・・後の祭りだ。

 

土曜のある日。

外の壁に大カマキリがいた。

お腹がふくらんでいる。

卵を庭のどこかに産まれたりしたら、えらいことだ。

翌年、うじゃうじゃ出現する。そうなったら悪夢である。

 

わたしと娘は、きゃーきゃー、大騒ぎした。

「うわ!そこにいる!大きい!たいへんだ!」

 

わたしたちの声に恐れをなしてか、

カマキリも、壁をものすごい勢いで這い登る。

 

このとき、庭にはクロミちゃんがいた。

大きな眼が、獲物を見つけた。

距離を計っているらしい。

ジャンプの姿勢をとった。

跳んだ!大ジャンプである!

ドタン!バタン!大捕り物だ。

 

カマキリだって、必死だ。

大きな羽を広げて、庭の外へ逃避行!

飛ぶ技を持っている、というのも恐ろしいが、

なんとか庭から出て行ってくれた。

 

ここは、ひとまず、よかった!

カマキリは目の前から消えた・・と思ったのだが・・。

コメント

タイトルとURLをコピーしました