(3)ぞうきん猫 ②その名は ぞうきん猫

ぞうきん猫 庭猫 
美しい緑の眼、胸元には枯れ葉やくっつき虫、長毛の洋風猫

(3)ぞうきん猫 ②その名は ぞうきん猫

 

ぞうきん猫、とはまたなんという名前だろう。
どんな名で呼ぼうかと、たとえばシェリとかココとか、
しゃれた名前で呼んでみても、その黒猫はそっぽをむいた。

「しかし、モップのようだね。
・・まさか、ぞうきん、なんて呼ばれてないよね」
いったとたん、ニャアと鳴いた。
「え、ぞうきん?ぞうきん猫?」
ニャア!
まいったね。
どうやら、だれかにすでに「ぞうきん」と呼ばれているらしい。

毛足の長い真っ黒猫で、そのもっさりとした毛のあいだに、
枯れ葉やら糸くずやら、くっつき虫とよんでいるトゲトゲの草などを、
ゴージャスにくっつけて歩いていたのだった。
・・たしかに、ぞうきん然とはしていたのだが・・。

長毛種の洋猫系だったから、ブラッシングしてあげれば、
素晴らしく輝いたはずだけれど、わたしは手を出せなかった。
黒という毛色の迫力もあったが、アーモンド形のグリーンの眼に、
怖いようなすごみがあったからである。
それに、ときおりジャキン!と見せる爪は、するどく尖っていた。

「あ、ねこちゃんだ。うちのねこにしたいな」
小学校に入ったばかりの娘がいった。
「アレルギーの人、いたよね」
「・・そうだった」
娘は気管支がすこしゼイゼイして、軽いアレルギーがあるという診断を受けていた。
ハウスダストや花粉、動物の毛などに反応するということだった。

 

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