⚫最終章

猫の葬式 飼い猫
おそうしき

⚫最終章

2013年
8月12日 午後4時

「大吉くんの好きだった食べ物を、
この器にお入れください」
葬儀社の係の人がいった。
そして、小さな前足に墨を塗って、
足形をとってくれた。

花に埋もれて、
冷たくなった大吉が横たわる。

お坊さんの読経が静かに流れる

二日前の、
8月10日
午後10時55分
大吉は逝ってしまった。

もっともっと、ずっとながく、
私たちと過ごしていくのだろうと、
思い込んでいたのに・・・

大吉は病気を持っていた。
猫免疫不全症候群・・
通称、猫エイズ。
さ迷い歩いているころに、
感染したらしかった。

「感染していますが、発症はしていません。
このまま発症などせずに、
元気に天寿を全うする猫もいますから、
そんなに落ち込まないでください」

大吉を初めて診察してくれた獣医師の言葉だ。

その恐ろしい病気が、
ふいに発症したのだった。

大吉の死について、
しっかりと、
書き伝えなければ・・と思う。
思いながらも、
・・つらすぎて、
ずっと、
先延ばしにしていたのだった。

9年も前のことなのに、
私にとっては、
つい昨日のことのようだから、
こうしていても泣けてくる。

⚘  ⚘  ⚘  ⚘  ⚘

※この章は大吉の最終章として、
当時の記憶と記録を照らし合わせて、
綴りたいと思っています。

 

コメント

  1. パル より:

    大吉くん、
    いつも楽しく読んでいました。長い間、心温めてくれてありがとう。
    オバの飼い猫になって幸せだったね。
    大吉くんの魂が、ずっとオバのそばにいてくれることを信じています。

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