(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ②遊び
おもちゃのネズミちゃんを放り投げる。
大吉は、ゴロリと絨毯の上に寝ころびながら、
両前足で上手にキャッチする。
そのキャッチしたネズミちゃんを、ポンとわたしに投げ返す。
2,30センチしか戻ってこないものの、
受けたり投げたりする遊びを、大吉は知っているのだった。
大吉が上手にキャッチすると、
「すごい!お上手!」
投げ返してくれると、「天才猫!すばらしい!」
わたしは盛大に褒めちぎる。
大吉は張り切りまくる。
そして、ますます上手になる。
ある夜のこと。
いつものようにネズミちゃんで遊んでいた。
と、急に『ちょっと、そとにいく!』という。
そろそろ11時になろうという時刻。
丁重に、お断りする。
『おねがいだよ!すぐもどるからさ!』
なんだか、必死の様相。
「ケンカじゃないでしょうね!」
夜になると、腕まくりして吹っ飛んでいくという、
[ケンカの前歴]があるので、信用できない。
でも、鳴き方がいつもとちょっと違う。
懇願しているようなのだった。
「・・じゃ、すぐ戻って来てよ!5分!!」
また騙されるんだろうな、と思いつつ、ドアを開ける。
大吉は、葉影の中に紛れるように消えた。
チチ・・チチチ・・チチ・・
それこそ5分も待たないくらいに、外から細い鳴き声が聞こえる。
なんだろう・・?
眼に飛び込んできたものは、本物のネズミを銜えた大吉。
おもちゃのネズミちゃんとほぼ同じ大きさの【ホンモノ】
『こっちのほうが、だんぜん、おもしろいよ!
なんたって、うごくもんね!これで、あそぼうよ!』
ニャー・・喜色満面の大吉の口から、
銜えていたネズミが、ポトリと床に落ちた。
「キャーーー!!!」
夫がおもわず拾って、庭に放り投げたのだった。
猫も、おだてるとその気になる、という一幕。
チョン!
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