⚫最終章 ⑤種はちがえども

二羽のカラス飼い猫
二羽のカラス

⚫最終章 

⑤種はちがえども

 

買い物帰りの私のあとを、
二羽のカラスが付いてくる。
屋根伝いに ピョンピョンと。
そして鳴きかわす。
カーオ クワァクワァクワァ
クワーォ グルルーカウ
複雑な鳴き方だ。
何かを問うているようで、
思わず足を止めた。

きっと、大吉のことだ。
私はそう直感した。

・・具合が悪くてね
外に出られないの

人に応えるかのように、
屋根のカラスに語り伝える。
二羽のカラスは小首をかしげて、
私の様子に目を凝らしている。

何日も食べられないの
どうしたらいいかわからない・・

カーオ カカカ
クワッカオロロロ
二羽はふたたび何かをいった。
そして、じっと私をみつめる。

おみまい・・と、
いたわり・・にちがいない。

ありがとう。
ダイキチに伝えます

二羽のカラスは、
ゆっくりと付いてきて、
私の家の屋根の上に止まると、
しずかに かなしげに 鳴いた。
カーオ カーオ グロロロ

「ダイちゃんのこと、心配してるよ」
カラスのはなしを伝えると、
大吉は顔をあげて、耳を立てた。
・・カラスの声が聞こえたらしい。

ふるえるように立ち上がると、
ヨロヨロと台所まで歩いて行って、
大好きなチュールを半分食べたのだった。

種はちがえども、
この地に住む仲間が、
見舞いの言葉をかけてくれる。
そのことが大吉をはげます。

⚘  ⚘  ⚘  ⚘
7月24日
インターフェロン(インターキャット)2回目。
熱が下がる。口臭も消えた。
少し体が楽なのかもしれない。
外に出たがる。アホか。

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