(4)マント嬢 ⑨そうだったのか!!!
だいぶ経ってから、ふいにわたしは、あることに思い至った。
マント嬢は、ぞうきん猫の最初の子どもだったのではないか!!
数年前、鬼のような言葉を投げつけた、あのときの子猫・・。
・・「こんなところで子育てされちゃ、こまるわ!
出てってよ!早く!」・・。
記憶が、めまぐるしく回り始めた。
そうだ!!
まちがいない!!!
真っ白な胸もとの、美しい子猫だった。
あの子猫のピンクの鼻の横には、
ホクロのような模様があったっけ・・。
ちいさな子猫には大きすぎるくらいに見えたホクロ。
それは、マント嬢の鼻の横のホクロと一致する。
マント嬢は気づいていたのだ。きっと。
あのときの鬼が、猫なで声を出してるってことに。
わたしと歩道で向き合ったときには、
もう、分かっていたのだろう。
「二つ目の庭よ」なんて教えずとも、
マント嬢は知っていたんだ。
自分の生まれ育った庭だったのだから・・。
・・ごめんね、ぞうきん猫。
・・ごめんね、ちいさかったマントちゃん。
ぞうきん猫はあっぱれな母猫だった。
「出ってて!」なんて冷酷なことを、よくいえたもんだ。
捨てる神あれば拾う神あり、というけれど、
見捨てる鬼あれば助ける神あり、なのだわ・・(泣)。
万感の思いが胸に迫ってくるのだった。
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