(4)マント嬢 ①出会い (1993年 夏)

庭猫 

(4)マント嬢 ①出会い (1993年 夏)

 

近所に買い物に行った。

その帰りの出来事。

 

歩道の真ん中を、長いしっぽを左右にふりながら、

胸を張って堂々と歩いてくる猫がいる。

白とダークグレーの美しい縞猫だ。

大きなグリーンの眼には、アイラインをくっきりと入れている。

ピンクの鼻の右横にポッチリと見えるホクロが、

端正すぎる猫に、愛嬌をそえている。

真っ白の胸もとは、さながら、すばらしいファーをまとっているかのよう。

ハリウッド俳優が、レッドカーペットを歩いている雰囲気だ。

ゆったりとした身のこなしは、威厳さえ感じられる。

 

わたしは猫とは逆方向から、

同じ歩道を歩いて自宅に向かっていた。

歩道の長さは200メートルほど。

ちょうど半分のあたりに、わたしの家がある。

 

・・猫という生き物は、植え込みに隠れながら、

そそくさと小走りに移動すると、わたしは思い込んでいた。

だから、こそこそと、よけるだろうと思いきや、

その猫は、よけることなく、

まっすぐ歩いてきて、わたしと対峙した。

 

グリーンの瞳が、わき目も振らずに、前を見すえている。

わたしを気にかけるそぶりは、みじんもない。

『じゃまなんだけど』というように、

歩道の真ん中で足を止めたまま、動かない。

 

「・・どうぞ」

道を開けたのは、わたしのほうである。

猫は当然のように、ゆうゆうと歩いて、

わたしの前を通り過ぎた。

 

その優雅な姿に、しばし見とれて、ハッとした。

お近づきにならなければ!!

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