第二部Ⅱ ⑥くノ一(くのいち)
黒猫の凛が暗がりに入ると、
闇はいっそう濃くなって、
捜すのに一苦労する。
凛は、捜させるのが好き。
『ここですよ~』
『そんなとこにはいませんよ~』
思いもかけない暗がりにひそみつつ笑っている。
5㎝しかない隙間にもぐりこんでいたこともある。
頭はどうやって入ったのだろう?
狭い隙間で、お腹なんか、どうなっているわけ?
苦しくないんだろうか?
引いたカーテンの内側に隠れていた時は、
ぺたんこになって、窓や壁と平行になっていた。
ちょっと、想像をめぐらす。
カーテンと同じようにヒダ状になって、
クネクネと体ごと折りたたんでいたりして・・とか。
関節を外せるんじゃないか・・とか。
ひょっとして、液体になれるんじゃないか・・とか。
それに近いことをしていそうな気がする。
最初から黒ずきん、黒装束の凛は、
[くにゃくにゃぬるり]と闇に紛れる、
手練れの[くノ一]だったら素敵だ!
などと、ニヤニヤして妄想する。
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