(Ⅱ)にゃんこ亭の猫たち ④クマくんの入院
【ねんねこ😽かわらばん】
草木も眠る丑三つ時。
М氏宅のリビングにおいて大乱闘あり!
立役者は2匹の雄の者である。
一方はМ家のクマ。
もう一方は流れ猫の獅子丸。
お嬢猫たちの、やんやの喝采のなか、
くんずほぐれつの大立ち回りが繰り広げられた。
両者互角の良い戦いぶりだったが、
騒ぎに目覚めたМ氏の登場がクマの油断を招いたか!
獅子丸、そのすきに乗じ、クマのしっぽにガブリ!
思い切りよく噛みついたからたまらない!!
クマはガクリ・・無念にも、くずおれた。
軍配は獅子丸に上がったもよう!
クマは深手を負い、「М氏救急車」で病院へ。
診察の結果、入院と相なった。
しっぽ切断の危機という!!!
たいへんな惨事となってしまった・・。
クマのしっぽ無事を祈るのみ!
御用とお急ぎでない方、
いや、もろもろ、おありの方も、
どうか、お見舞いに行かれたし。
※お見舞い品[カリカリ、猫缶など(可)]
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かわら版売りは町中を駆けまわったらしくて、
『クマくん、深手を負い入院』というニュースは、
クマくんファンの人々の知るところとなった。
すばらしく長いしっぽが無くなるかもしれない!なんて、
みんな、とても心配したのものだった。
わたしは夫とともに、動物病院にお見舞いに行った。
・・カリカリを持って。
獣医は「どなた?」と不思議そうな顔をした。
飼い主ではない人が来るというのは、
どうやら、珍しいことらしい。
クマくんは、シルバーの清潔なケージの中で、
エリザベスカラーを首に巻かれて、
大きな眼を、さらにまん丸に見開いていた。
『見ないでよ・・』『どして、しってるのサ・・』
そんな感じの、憮然としたまなざしをして・・。
ケージの間からすべり入れたわたしの手を、
それでも、クマくんはペロ・・と舐めた。
長いしっぽには痛々しく包帯が巻かれていた。
「ひどいことになったね」
『ni・・』かすかにお返事した。
しばらくして、やっと退院した。
しっぽは、なんとか切断せずにすんだが、
すっかり毛が剃られていて、生え揃うまでの間、
「黒いネズミのしっぽを持つ猫」という様相だった。
獅子丸に関しては、すこしの間、
М氏宅への出入りは禁止されたものの、
おとがめはなかった。喧嘩両成敗だからね。
あいかわらず、クロミちゃんといっしょに、
にゃんこ亭には日参していた。
「クマんちで、ランボーローゼキってのは、よくないわね!」
わたしの言葉にも、どこ吹く風なのだった。
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