第二部Ⅴ ⑦大吉の命日😢

飼い猫

第二部Ⅴ ⑦大吉の命日😢

 

今日は、大吉の命日。
私たちの前から、
大吉が消えてしまって、
もう十年も経ったなんて・・

。。。。。。

大吉が逝って二年が過ぎた頃。

私の中には大吉の居なくなった穴が空いたままで、
それは、いつまでもふさがらなかった。
むしろ、どんどん大きくなって、苦しいくらいだった。

そんな夏の日。
ペットショップに三毛猫がいた。
いつも、つまらなそうで、
子猫なのにじゃれたりしなかった。
自分を見つめる人間たちを、
冷めた眼つきで見返していた。
そんなふうだから買い手がつかなかった。
私は、その子が気がかりで、
その月の間に買い手がつかなかったら、
うちの子にしようと、なかば決めていた。

。。。。。。

ある朝、大吉の声で目覚めた。
大きくのどを広げて鳴く、胴間声。
間違いなく大吉の声だった。
寝室のドアの前から聞こえてくる。
大急ぎドアを開けた。
誰もいない・・
家の中、あちらこちら確かめたけれど、
大吉の姿はどこにもなかった。

あの大声は、幻聴だというのだろうか。

ありし日の大吉

。。。。。。

・・少し経った頃、
ペットショップの三毛猫は、
小さな女の子に抱っこされて、
幸せそうに眼を閉じていた。
おうちが見つかったらしい。

。。。。。。

その年の秋。

我が家の庭のハナミズキの陰に、
しっぽの長い子猫がいた。
『おなかがすいたよぅ』と鳴いていた。
その猫が、凛なのだった。

確信にみちて思う。
三毛猫に心動かしていたときの、
朝方の大吉の胴間声は、
『オバァ!子猫なら、もうすぐ行くよ!』
という大吉からのメッセージだったと・・

でも、また別の確信もある。
大吉が送ろうとしていた白黒の子猫は、
きっと、クロミにしっぽを押さえられたに違いない。
『ダメ!こんなホンワカしたのをやっちゃったら、
オバはあたしたちのこと、わすれちゃうわ。
すこし、クセのある黒い子猫に決定!』

クロミちゃん

凛は、そんなふうにクロミに送り込まれたんじゃないか。
ときどき、凛の中に、クロミがほの見えるんだよね。

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