第二部Ⅴ ⑥鉤爪のわざわい
凛は爪切りを嫌がる。
それを知っているので、
ぎりぎりまで切らない。
ところが、爪が長くなってしまうと、
なかなか大変なことになる。
猫の爪は鉤型になっているので、
いろんなものに引っかかる。
カーペット、
カーテン
シーツ、
ありとあらゆる布ものに、
長い鉤爪が入り込んで、
抜くことができずにいたりする。
お利口なようでもそこは猫だから、
引っかかっている爪を、
自分のいるほうに引っ張っている。
結果、鉤爪はますますくい込む。
布には大きな穴が開く。
そんな時は、ジト~と、
助けてオーラ全開・・で、
じっと私を見つめている。
「あら!たいへん!!」
ふっとんで行って、
小さな、けれど鋭い鉤爪を持ち上げ、
向こう側に押しやるようにして外してあげる。
凛が感謝するとお思いでしょ?
いいえ~~( ノД`)シクシク…
『なにするのよぅ
いたいじゃないのぉ
オバにひどいことされたぁ』
くい込んでいる鉤爪を持ち上げて、
布から外すときに、
小さなお手々に圧がかかって、
きっと痛いのだろう。
三角の眼つきで、
じっとりと怒りながら、
どこかへ隠れて、しばらく出てこない。
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