(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ③散歩する猫 【その3】
前になったり、はるか後ろを歩いていたり、
ふと気づくと、よその家の門の中に入りこんだり、
車のタイヤの匂いを嗅いだりしながら、
大吉は、自分の速度で、好きなように歩いている。
あれ、どこかな?
そう思っていると、数軒先のお宅の垣根の中から、
ヒョコッと、あのワカメちゃんカットの頭が出てきたりする。
忍びやかに、ひそやかに、猫足で移動している。
びっくりすると、得意気だ。
きっと、ふふふ・・と笑っている。
![ここだよ!](https://nekotukai.com/wp-content/uploads/2021/11/26147ce3bed7d8dd536219f219819b93-300x245.jpg)
ここだよ!
大きな切り株の上に、置物のように動かないこともある。
ジッと眼を凝らして、なにかを見つめている。
どんな気配を感じているのだろう。
もしかしたら、ライバル猫が、
闇の中に潜んでいるのかもしれない。
わたしも少し緊張する。
すると、憑き物でも落ちたみたいに、
パッ!
大きくジャンプして、陽気に駆けだす。
『なんでもないよ』というように。
目指すは、お気に入りの公園。
月の光に照らされた夜の公園は、
桜や松や遊具のすべての影が、漆黒に染まっている。
まるで、静かな水の底にいるようだ・・。
ふいに、大吉が走りだす。
夜を飛んでいるかのように走りまわる。
太っている猫とは思えないほどのスピードで、
ぐるぐるぐるぐる走り回る。
『たのしいな~』と、はしゃいでいる。
![夜の公園で猫と](https://nekotukai.com/wp-content/uploads/2021/11/9779097503934b5f0036806ded24ba7b-300x212.jpg)
夜の公園で
わたしは、ブランコを漕ぐ。
夜空に飛び出すように漕いでいる。
月も勢いよく動く。
コメント
すごく、ステキです‼️
光景が浮かんできて、いつも癒やされてます。
大吉くん、かわいい。
ランボウ猫なんて、思えません。