(Ⅵ)にゃんこ亭の猫たち ⑧4番目の猫
にゃんこ亭には白黒猫だけが残った。
K子さんの情報は、正しかったようだ。
白黒猫いっぴきだけだと、静かなものである。
白黒猫だって雄猫だから、どのみち旅に出るだろう、
そう思って、放って置いた。
しかし、この猫、いっかな旅に出ようとしない。
「あんた、旅に出ないの?」
冷たく、わたしは問う。
獰猛な唸り声の猫とは思えないような、かわいい声で、
『にゃ』と小さく鳴いて、『にっこり』笑った。
ほっぺのあたりが白いので、
眼を細めただけで、『にっこり』笑顔に見える。
不二家のぺコちゃんに似ていた。
「だまされないわよ!」
わたしは、首を振り、そっぽを向いたのだが・・。
この白黒猫は、わたしの拒絶に無頓着なのだった。
どうなってるの( ゚Д゚)
にゃんこ亭に居続けを決め込むつもりのようだ。
そして、朝、昼、夕と、
クロミちゃん、ミケちゃん、タクちゃんと一緒に、
カリカリを要求するのだった。
しかも、四番目に並んで・・。
『ケンカなんてボクしたことないデス』
押しのけたりせず、ひたすら、しおらしい。
従順に、四番目を守っているのだった。
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