(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち ⑧猫ドアを要求する大吉 (その4 勝敗の行方)

挑み、敗れた猫飼い猫
挑み、敗れた

(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち 

⑧猫ドアを要求する大吉 (その4 勝敗の行方)

 

朝。
リビングには、フワフワと何かが飛んでいた。
このフワフワはなんだろう?
なんにしても、壮絶な戦いがあったようだ。

ケージは相当に重いものなのに、
横倒しにひっくり返っていた。
当然のことながら、
トイレもひっくり返り、
水入れもころがっている。

ひっくり返ったケージの中には、
トイレの紙砂にまみれた大吉が、
グジャグジャに丸まった牛柄ケットの上に、
茫然自失といったありさまで、
ぼんやりすわっていた。

茫然自失の猫

茫然自失・・・

 

目にしたとたん、
わたしも茫然と突っ立って、
この惨状について考えを巡らせた。

ケージの下に敷いたシートが破れている。
浮遊するフワフワは、
トイレの紙砂のホコリと、
ペットシートの破片だと分かった。
想像するに、
怒り心頭に発した大吉は、
ケージの中から手を差し出して、
下に敷いたペットシートを、
手繰り寄せつつ引きちぎったのではなかろうか。
その勢いあまって、ケージもひっくり返ったのだろう。
・・そうとうな怒りだったのだな。
結果、
シーツの中の細かい繊維とトイレの紙砂が、
飛び散り漂い、部屋中を舞うことになったのではないか。

さすがの大吉もくたびれ切って、
憑き物が落ちたといった様子。

大吉をケージから出すのも大変だった。
ドア面が下になっていて、
正常な状態に戻そうとすると、
大吉ごとひっくり返ってしまうからだ。
そのたびにトイレも水入れも、
ゴロンバタンとひっくり返って、
大吉にぶちあたるのだった。

それでも、おとなしくされるがままである。
やっとケージから出た大吉は、
『オバぁ!会いたかったよぅ・・。
こいつが(たぶん、ケージ)、
おいらにいじわるするんだよぉ・・泣』
ピトッとわたしにしがみつき、離れない。

会いたかった猫

会いたかったよう・・・

 

薬は効いた!!
もう二度と、猫ドアを要求することはなくなった。
・・わたしは勝利したのだった。
けれど、この勝利は後味の悪いもので、
思い出すたびに、重い塊がせりあがってきて、
苦しく胸を締め付けるのだった・・(;_:)。

大ちゃん、いじわるしたのは、
ケージじゃなくてオバだったんだよ。
ごめんね。

・・ ・・ ・・

※大吉を一晩苦しめたケージは、
猫の保護活動をしている友人のもとで、
ケージ本来の使い方をされて、おおいに役立っている。

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