(6)5匹の子猫 ⑨知らせに来てくれた!! (10月中旬)

庭猫 

(6)5匹の子猫 ⑨知らせに来てくれた!! (10月中旬)

 

避妊手術を受けた、というウワサを聞いたとき、

いわゆる文章の基本要素が、

心の中にまっさきに浮かんだ。

みなさま、ご存じの、

いつ?どこで?だれが?・・っていうアレね。

 

真実なのだろうか・・?

「良かった!」という思いと、

「ウチの子たちではなくなった!」という思いが、

交差するように沸き上がってくる。

安堵感と、嫉妬にも似た感情。複雑な思いだ。

・・気が付くと、ため息をついていた。

 

どこかに喪失感を抱えながら、日は過ぎて行った。

 

ある日。

濡れ縁に小さな影が動いた。

あ!あ!

黒茶のべっ甲猫!!

ぞうきん猫の子猫だ!

 

そっとガラス戸を開けた。

網戸を開けたいが、じっと我慢だ。

驚いて逃げ出されては一大事だから・・。

庭にいたときより、ちょっぴり大きくなったように思う。

「よかったわ!!元気だったのね!!」

ニャ~ン。

「いったい、なにがあったの?すっごく心配したのよ!」

ミャ~ン、ミャオンニャン・・。

一生懸命、なにかを訴えているように鳴く。

なにをいっているのか・・「?」である。

 

すると、突然、

網戸に爪をかけて、スルスル立ち上がった。

そして、さらに鳴きだした・・というか、しゃべった。

『ほらぁ、みてよぉ~。こぉんなことになっちゃったのよぉ』

お腹を見てほしいのだ。毛が剃られている!

やっぱり手術されたというのは本当だったのか・・。

 

それにしても、この猫はタダモンじゃない!

さすが、ぞうきん猫の娘だわ!

マント嬢を超える(かもしれない)おもしろさだ!

 

こんな{おもしろ猫}には、こちらも、きちんと応じないとね。

「あらぁ、そうだったのぉ、

大変なことになっちゃってたのねぇ・・。

きっと、痛かったでしょうねぇ。こわかったねぇ」

 

猫は、ますます、いろんな声色をつかって訴える。

ゴロニャン、ミャオニャオン、ウンニャ~ン。

『もうね~、たぁいへんだったのよぉ~。

つかまちゃってねぇ~。こわかったわよぉ~』

どれだけ{びっくりして怖かったか}を、

猫は、しゃべり続けるのだった。

 

(子猫食堂のおばさんを忘れずに、知らせに来てくれたこの猫は、

よその家の飼い猫となりながらも、わたしの庭を「ふるさと」として、

かんかん照りの日も、雨の日も、風の日も、雪の日も、

休むことなく日参することになった)

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