(4)マント嬢 ⑤呼び名は マントさま
猫に呼び名をつけようと話し合った。
いつまでも、「ねこさん」じゃあ、ちょっとね。
堂々とした様子は、おれさま風だったから、
「男の子に違いない!」
わたしたち家族三人の意見は一致した。
真っ白な胸もとを覆うように、背中からしっぽまで、
ダークグレーのマントを着ているようだったので、
「マントさま」という呼び名に決めた。
もちろん、「さま」までが呼び名だ。
マントさまは、毎日、朝の8時ごろには来てくれた。
しかし、どうしたわけか、休日は来るのが遅い。
これは、すこし不思議だった。
マントさまのことを、自由猫だと思い込んでいたが、
もしかしたら、飼い猫なのではなかろうか。
休日の過ごし方は人それぞれだが、起床も食事もゆっくりのはずだ。
そう考えると、マントさまの様子は説明がつく。
それにマントさまには、がっついたところもなかった。
人を恐れず、堂々とした猫に育てた飼い主に、
嫉妬に近い感情がわいてくる。
いいなぁ!うらやましいなぁ!
・・そんな幸福者はどこのだれだろう・・。
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