第二部Ⅲ ①あなどれない猫娘の心理

飼い猫

第二部Ⅲ ①あなどれない猫娘の心理

 

用事で夫ともども留守にしなければならなくなった。
わずか一泊二日とはいうものの、
気がかりな猫がいる身としては、複雑である。
超気難しくて神経質な凛を残して行くのは、容易なことではない。

一度、ためしにペットホテルに一泊お世話になったが、
ストレスで血尿になり、病院通いをする羽目になったこともある。

しかたがないので、
離れて暮らしている娘の助けを借りることにした。

[凛は娘のことが好き]と思われそうだけれど、
実はそうではなく、ライバル心をむき出しにして、
わざわざ、娘のバッグめがけてゲロを吐いたりする。

娘がいると、私の気もちが娘の方にかたよるらしくて、
そのことが【猫娘】の小さな心を刺激するようなのだった。

 

その日は土曜日。
私たちは9時頃には家を出る予定だった。
凛には「こどもが来るからね」と言い含めていた。
ストレスを感じるとすぐに体調を崩す猫だから、
私としては、後ろ髪を引かれる思い。

娘は自分の用事などを済ませて、午後3時頃に到着。
私たちが家を出てから6時間ほど経過していた。
その間、凛はひとりでお留守番していたわけだ。
さぞやドキドキしていたろうと思う。

ガチャ!
玄関の鍵が開いた!
「凛ちゃ~ん💛」
ふだんなら、大嫌いなヤツの声だ。
それなのに、
凛は盛大に鳴いて鳴いて、
どんなに寂しかったかを訴えて、
あげく娘にヒシッとしがみ付いたそうな。
なんと15分もの間!

凛は束縛されることが苦手なので、
抱っこされることも好きではない。
いつもなら絶対にありえないことが起こったわけだ。

娘は嬉しくてたまらない。
弾むようなメールが届いたのだった。

 

・・・残念なことに、
心細かったときに来てくれた娘のことを、
凛は、それほどありがたがることも無い。
娘が来るたびに、なにがしかの嫌がらせは忘れない。

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