第二部Ⅳ ③とにかく海苔好き
凛は、冷蔵庫を開けると吹っ飛んでくる。
それはみごとな走りっぷり!
サッカー選手のシュートボールかと見まごうほどである。
実は、冷蔵庫に入っている海苔がお目当てなのだ。
どうなの?
海苔は。
ミネラル成分が多いから、
猫にはダメってお叱りを受けるかしら・・・
何かで読んだオノヨーコさんの話を思い出す。
70%の食餌しかもらえない猿のグループと、
満腹になるまで食べていい猿のグループを比較すると、
70%の猿たちは長生きするという。
けれども、その猿たちはギスギスしてケンカばかりする。
険しい眼つきで幸せとはいいがたいらしい。
満腹の猿たちはどうかというと、
70%猿ほど長生きはしないかわり、穏やかに仲良く過ごすという。
見るからにほのぼのと幸せそうで、
満腹な猿たちに、ヨーコさんは軍配を上げていた。
2×3㎝くらいの海苔を、
さらに小さくちぎって、
凛の口もとに持っていく。
シャリシャリと目を細めて上手にめしあがる。
たまに私の指も食べそうになる。
でも、鋭い牙で傷つけないように、
気づかって食べていることがうかがえる。
香ばしいかおりも楽しんでいるようだ。
いかにも幸せそうで、
楽しい記憶をたっぷり持って、
私と一緒に生きてほしいと思っている。
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