⚫最終章Ⅱ
②お葬式
・8月12日
・午後4時からセレモニー
・火葬
この日は休日ではないので、
私だけで大吉を見送ることになっていた。
ところが、昼早くに夫が帰宅。
大吉のことを知った他の歯科医やスタッフたちが、
この日の夫の患者さんをみんなで受け持つから、
心配せずに帰ってほしいと言ってくれたという。
なんて有難い配慮だろう。
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祭壇
・午後4時
祭壇には、遺影が飾られた。
私の手で整えられたお棺の中には、
花に埋もれた小さな大吉のなきがらが、
ひっそりとねむっている・・
お坊さんの読経がしめやかに流れる。
人のお葬式のように、
お焼香もするのだった。
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荼毘所の小さなドアの中に、
花に囲まれた大吉を乗せた台が、
静かに静かに入っていく。
銀色の扉がスーッと下りた。
さらに木製のドアがきっちりと閉じて、
大吉はこの世から遮断された。

火葬の時
ハッ・・・
ためいきだろうか・・
悲しみだろうか・・
驚きだろうか・・
その音が口をついて出たとたん、
ボタン ボタンと とめどなく、
大きな涙の玉が私の足元に落ちていって、
あたかも小さな池をつくった。
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大吉はお骨になった・・
頸椎から尾骨の先まで、
くるりと曲線を描いて並べられていた。

ダイキチザウルス
これが頭蓋骨・・
これがのど仏・・
これが尾てい骨・・
しっぽもみごとですね・・
セレモニーホールの職員は、
博物館の学芸員さながらに、
ひとつひとつを丁寧に説明してくれる。
腐敗していたはずの顎骨もしっかりと残っている。
いつか見た恐竜の化石を思い出した。
ダイキチザウルスと名づけよう・・
こんなに、みごとな骨格は、
それだけで魂の存在を想う・・
カシャン カシャンと
歩きだしたら・・うれしい・・
コメント
大ちゃんが死んでかなしいです。さいしょにおそうしきの写真があったので、そのときからかなしかったです。でも、ダイキチザウルスはすごいなとおもいました。