(Ⅹ)にゃんこ亭の猫たち ⑩タクちゃんの死
2010年2月2日
午後5時22分
М氏宅のタクちゃんが
虹の向こうの住人になってしまった。
13さいだった。
「タクちゃんの具合が悪い」
という報せがあったのは、
1月も末のことだった。
ずいぶん長くタクちゃんの姿を見ていなかった。
タクちゃんが高齢猫となり、
にゃんこ亭に来る回数が減ったからだった。➡
久しぶりに会うタクちゃんは、
すっかり痩せてしまっていた。
それでも、わたしを認めると、
マリオネットのように揺れながら、
ゆっくりと歩いてきてくれた。
「タクは若月さんを待っていたんだなぁ・・」
М氏がしみじみといった。
いろいろな思い出が湧き上がってくる。
М氏宅の、たったいっぴきの男の子猫だった。
けなげで、謙虚で、やさしかった。
甘えん坊の『タクぼん』でもあった。
そうかと思うと、
カミナリの鳴るような雨の日には、
わたしを救いに来てくれる『猫ナイト』でもあった。
みかえりなど求めるわけでもない、
あの純粋な気もちに、わたしは応えていたろうか・・。
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