(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ①飼う気祝い
「もう帰らないかもしれない・・」と、
幾度もわたしを脅かしながらも、大吉は帰ってくる。
(しかも、わたしは、性懲りもなくだまされる)
今回は翌朝、帰ってきた。
朝帰りの、白ぼん。
のどをゴロゴロ言わせているあたり、
どうやら調子は良さそうだ。
一晩中、どこをほっつき歩いていたものか、
白い毛のところどころが、ねずみ色に汚れている。
![ぐうたら猫](https://nekotukai.com/wp-content/uploads/2021/10/027f69966e6a393a79c23bbb2a634319-300x196.jpg)
ぐうたら白ぼん
大吉はテリトリーを見回っていたのだろう。
いや、縄張りか・・。
大吉の場合は、横文字よりも、
古くからの日本の言葉のほうが、しっくりくる。
縄張りといったとたん、江戸の雰囲気が漂い出す。
そうなると、わたしは放蕩息子に手を焼くおっ母さんか・・。
「はやく湯屋に行っといで!あんぽんたん!」
手ぬぐいを持たせてどやしつけたい気分だが、
猫の湯屋などないので、わたしが体中、拭いてやるしかない。
最近では、自分で身づくろいするよりも、
わたしにきれいに拭いてもらうほうがいい、と思っているようだ。
猫も、安易に流れる。
きっちりと絞ったタオルを二本と、
乾いたタオルを二本、用意する。
そして絞ったタオルで、顔から順にキュッキュッ、くまなく拭き、
その後、乾いたタオルで水気を取るように、さらに拭く。
だいたいきれいになる。
大吉はされるがまま。『えへへ』と薄笑いしている。
長すぎるとたまに甘噛みして、
わたしに、ポカリ、どやされる。
М氏から大吉に[快気祝い]をいただいた。
表書きを[飼う気祝い]として、お返しすることにした。
(お気持ち、100%いただきました!!)
のんきな庭猫から、正式な家猫に転身した祝いというわけだ。
数年前に、セピアと名付けた猫を手放すという苦い経験があった。
(ペコという名前でМ氏宅の飼い猫となる)【参照】➡
娘のアレルギーが酷くなったためだったが、今なら大丈夫。
昨年、胸のゼロゼロが無くなった、という診断を受けていた。
明るい兆しだ。娘にも大吉にも我が家にも。
「よりによって、あんな猫を飼うの?」
猫好きのМ氏でさえ、そう言ったほどの乱暴猫と、
わたしたち家族との、これからの[道行き]はいかに・・
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