(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ①飼う気祝い

目千両の猫 飼い猫
目千両

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ①飼う気祝い

 

「もう帰らないかもしれない・・」と、

幾度もわたしを脅かしながらも、大吉は帰ってくる。

(しかも、わたしは、性懲りもなくだまされる)

 

今回は翌朝、帰ってきた。

朝帰りの、白ぼん。

のどをゴロゴロ言わせているあたり、

どうやら調子は良さそうだ。

 

一晩中、どこをほっつき歩いていたものか、

白い毛のところどころが、ねずみ色に汚れている。

ぐうたら猫

ぐうたら白ぼん

 

大吉はテリトリーを見回っていたのだろう。

いや、縄張りか・・。

大吉の場合は、横文字よりも、

古くからの日本の言葉のほうが、しっくりくる。

縄張りといったとたん、江戸の雰囲気が漂い出す。

そうなると、わたしは放蕩息子に手を焼くおっ母さんか・・。

「はやく湯屋に行っといで!あんぽんたん!」

手ぬぐいを持たせてどやしつけたい気分だが、

猫の湯屋などないので、わたしが体中、拭いてやるしかない。

 

最近では、自分で身づくろいするよりも、

わたしにきれいに拭いてもらうほうがいい、と思っているようだ。

猫も、安易に流れる。

きっちりと絞ったタオルを二本と、

乾いたタオルを二本、用意する。

そして絞ったタオルで、顔から順にキュッキュッ、くまなく拭き、

その後、乾いたタオルで水気を取るように、さらに拭く。

だいたいきれいになる。

大吉はされるがまま。『えへへ』と薄笑いしている。

長すぎるとたまに甘噛みして、

わたしに、ポカリ、どやされる。

猫の寝姿

 

М氏から大吉に[快気祝い]をいただいた。

表書きを[飼う気祝い]として、お返しすることにした。

(お気持ち、100%いただきました!!)

のんきな庭猫から、正式な家猫に転身した祝いというわけだ。

 

数年前に、セピアと名付けた猫を手放すという苦い経験があった。

(ペコという名前でМ氏宅の飼い猫となる)【参照】

娘のアレルギーが酷くなったためだったが、今なら大丈夫。

昨年、胸のゼロゼロが無くなった、という診断を受けていた。

明るい兆しだ。娘にも大吉にも我が家にも。

 

「よりによって、あんな猫を飼うの?」

猫好きのМ氏でさえ、そう言ったほどの乱暴猫と、

わたしたち家族との、これからの[道行き]はいかに・・

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