第二部Ⅳ ⑧猫耳ペタン
かなり昔のことだけれど、
「イオナ わたしは美しい」
という化粧品のCМがあった。
その当時、私の庭には、
マント(➡)と名付けた美しい猫が遊びに来ていた。
正真正銘の美猫で、しかも貫禄があった。
その美しい猫の耳を、
頭に沿ってペタンとたたみ、
横顔を向けさせる。
そして、ひとこと言う。
「イオナ わたしは美しい」
なだらかな額。
形の良い鼻。
一見、おちょぼ口。
おお!美しい!!
CМの女性も美しかったが、
マント嬢はその女性に、勝るとも劣らなかった。
(この言い方、久しぶりだわ~。
互角、あるいはそれ以上ってことよね)
マント嬢は嫌がることなく、
何度でもお付き合いしてくれたものだった。
⚘~⚘~⚘~⚘~
この遊びをすっかり忘れていたのだが、
ついこの間、娘が思い出した。
そして、おもむろに凛の耳をペタンとたたんだ。
その行為を嫌がるかと思いきや、
凛は別段、嫌がりもしないのだった。
気難しい猫なのに、なんとも不思議である。
横顔を向けさせて、娘は言った。
「イオナ わたしは美しい」
手前味噌で恐縮だけれど、
凛の横顔もとても美しい。
私たちは大いに盛り上がった。
アイソなしの凛には珍しいことに、
なんどでも耳をペタンとたたませてくれる。
どうしてだろう???
・・ひょっとして、
猫耳ペタンは【ツボ】だったりしてね!
コメント