(6)5匹の子猫 ⑤叱られた子猫 (9月上旬)

庭猫 

(6)5匹の子猫 ⑤叱られた子猫 (9月上旬)

 

3匹の茶トラ猫はよく似ていたが、

1匹だけ、ひときわ大きい茶トラ猫がいた。

その大きな茶トラが、あるときから丸々1週間、

ぞうきん猫の怒りをかったことがある。

理由は分からない。

 

子猫にとっての1週間は、かなり長いはずだ。

怒りはそうとう大きくて、

子猫は側にも寄せてもらえない。

なんとかして寄ろうとしても、

バシッ!・・引っぱたかれる。

シャー!・・うなられる。

まるで、世に聞く「継子いじめ」のようである。

 

他の子猫たちのことは、猫かわいがりしている。

『かわいくてしかたがない』という感じだ。

体中を舐めまわしては、清潔にもしてあげている。

それなのに、

大きな茶トラだけは、50センチも離れた所で、

たった1匹だけで放って置かれていた。

だんだん、しょんぼり塩垂れてくる。

肉付きが良かったのに、しぼんでもきた。

顔つきには険が出て、放浪してきたように見える。

 

「ぞうきん猫!いったい、どうしたの?」

たまりかねて、呼びかけてみた。

呼びかけには応じるのだが、

茶トラに関してのことだと分かると、

『だまってて!』と、そっぽを向いた。

 

きっかり1週間後、お怒りはとけたらしい。

朝から、盛大なかわいがりようだ。

茶トラ猫はとろけそうな顔をしている。

ぞうきん猫だって、目を細めながら舐めまわしている。

ほんとうは茶トラを心配していたんだ・・。

 

親子のうれしさが伝わってくる一枚の絵。

 

ふーん。すごいね・・。

 

人なら、情けにほだされて、許しているんだろうな。

ぞうきん母さんの教育は、「半端ない!」のだった。

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