飼い猫

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(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ③散歩する猫 【その3】

(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ③散歩する猫 【その3】 前になったり、はるか後ろを歩いていたり、 ふと気づくと、よその家の門の中に入りこんだり、 車のタイヤの匂いを嗅いだりしながら、 大吉は、自分の速度で、好きなように歩いている。 あれ、どこか...
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(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ②散歩する猫 【その2】

(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ②散歩する猫 【その2】 秋風が立つころの夕暮れの散歩は、 いつも何かの気配が漂い出すのだった。 昼の名残りをどこかに包み隠しながら、 だんだんと夕陰が伸びあがってくるような・・。 葉陰からも、草陰からも、 たくさ...
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(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ①散歩する猫 【その1】

(Ⅸ)にゃんこ亭の猫たち ①散歩する猫 【その1】 夏の夕暮れ。 夕食が済むと、『はやく、さんぽにいこうよ』 大吉が、わたしたちを誘う。 不思議なことに、この散歩は、 7月の梅雨が開ける頃に、突然、幕を開け、 9月になって、風の中に秋の気配...
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(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑨牙を折って帰った話 【その2】

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑨牙を折って帰った話 【その2】 その夜、牙の折れた大吉を見て、夫は驚いて目を剥いた。 「あ~ぁ・・いったい何やったんだかなぁ・・ 痛くないのか?・・化膿したら大変じゃないか・・」 幸いなことに、化膿もせず、痛みも...
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(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑧牙を折って帰った話 【その1】

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑧牙を折って帰った話 【その1】 いつものように朝帰りだった。 ・・ブンブンブンブン♡・・・ なんだか、すこぶるつきの良いご機嫌だ。 なにがあったか分からないけれど、 大吉のご機嫌が良かったら、わたしも嬉しいのだっ...
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(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑦大吉と娘の関係

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑦大吉と娘の関係 娘が地方の大学に入学して、家から離れた。 離れるまで、娘は大吉に、家を出ることを伝えてはいた。 「引っ越しするのよ。大ちゃんと別れるのは悲しい」と。 【猫は人語を理解する】とわたしは考えているが、...
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(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑤大吉の一日

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ⑤大吉の一日 朝。 出勤する夫と一緒に、大吉は玄関から出る。 玄関まわりの匂いをかいで、じっと動かないこともある。 数軒先まで、一緒に歩いて、ふいに植え込みの中に入ることもある。 そうかと思うと、忠犬のごとく、 バ...
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(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ④お腹だけは横綱級

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ④お腹だけは横綱級 飼い猫になった頃の大吉の食欲たるや、驚くべきものだった。 大きな缶詰を丸ごと平らげても、まだまだ食べたりない。 『もっとなんかおくれよぅ』 頭突きしたり、顔をすり寄せたりと、さかんにわたしの機嫌...
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(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ③大吉のソウルフード

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ③大吉のソウルフード 散歩している途中で、建築工事の現場を見つけた。 家を建てているようだった。 ちょうど、昼時に差し掛かっている時間で、 早お昼にしたのか、6人ぐらいの若者たちが、 車座になってお弁当を使っていた...
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(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ②遊び

(Ⅷ)にゃんこ亭の猫たち ②遊び おもちゃのネズミちゃんを放り投げる。 大吉は、ゴロリと絨毯の上に寝ころびながら、 両前足で上手にキャッチする。 そのキャッチしたネズミちゃんを、ポンとわたしに投げ返す。 2,30センチしか戻ってこないものの...